Mindset of the TAKAMI KARATE Practice(稽古の心得)
Don`t think.
Don`t talk.
Repeating the basics.
Just Sweat !
Akira Takami, Osu!
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- 2016-06-20 Mon | URL | 正拳コラム | Edit | ▲PAGE TOP
スリランカ訪問記vol.3/エピローグ編
26.April.2016 Tuesday スリランカ3日目。今日は早朝6:00amにジェシリ先生がピックアップに来られました。
クルネーガラに「アト ガラ」と言う場所があり、そこには大きな白い仏陀像があります。アトはスリランカの言葉で象と言います、ガラは山です。象の山。象がいるわけではありませんが、象は仏様の使いだそうです。本日の稽古は、ここ「アトガラ」に道場生と登って約40分くらい歩き、仏陀像にお参りしてからのスタートです。
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本日も40℃の中、10:00~12:00、3:00pm~5:00pm 5:30pm~7:30pmと3クラスの稽古の予定。日中40℃前後でメガネも曇る多湿の中、山登りから始まった今日も、なかなかよい修行でした。
また難行苦行の成果か、3日目からは皆さんと同じ右手をスプーンに食事し、ウォシュレット派の私も紙の無い×××なトイレに裸足でいけるようになりました、押忍!
さて、本日の稽古は、私のデモンストレーション(演武)からです。ヌンチャク「雷神」、トンファー「泰山」そして「スーパーリンペイ」をご披露し、基本と移動を中心に稽古しました。
短い期間で高見空手の精神性もご理解頂くため、稽古中は
「高見空手は、相手を倒すためではなく、試合用でもなく、護身術のための空手です。」
「和合と修養が目的の空手です。」
「Most importand is Repeating and Continue.」
(繰り返す事、続ける事がもっとも大切です。)
「Repeating the basic.It's very important!」
(基本を繰り返す。これがとっても重要!)
と、何度もヘタな英語とジェスチャーで説明を繰り返しました。
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12:00、ホテルで食事をし、3:00pm~5:00の稽古は道場近くの湖の回り約2kmをランニングして野外稽古。スリランカは天候が変わりやすく、いきなり雷とモンスーンの大粒の雨になりますが、この日も野外稽古の帰りに落雷&大雨になり、嵐と停電の中でのエキゾチックな稽古となりました。
帰りの車中、ジェシリ先生から
『高見空手はとても楽しい。こんなにエンジョイできるとは思ってもいませんでした。』とコメントして頂き、私もホッとしました。
『Come on in!』って…
そして今夜はホテルでひとり食事です。ホテルカムラルは、クルネーガラで一番新しい高級ホテルのようです。そのホテルで、ちょっとした事件が起きました。
21:00頃、部屋に戻るとガラスが揺れるほど大きな音楽が響いています。シャワーを浴びて道衣を洗濯し(ランドリーがなく浴室のシャワーで手洗い)、明日の稽古に必要になりそうな英語とシンハラ語をノートに書いてベットに入りましたが、音楽がうるさ過ぎて眠れません。ただ体が疲れきっているため、起き上がろうとは思いません。
しかし深夜0時、ついに我慢の限界。音楽を止めさせるために部屋を出ました。てっきり隣の客室からかと思ってドアに耳をあてましたが、別の所からです。うるさい音のする方に進んで行くと階段があり、そのまま上に上がると更に大きくなります。音楽は、最上階6Fの大きなホールからでした。
ホールを覗き込むと、なんと…?! 日本では考えられないことですが、お客さんの睡眠を妨害していたのはホテルの従業員たちでした。彼らは私の顔を見るなり
『Come on in!』と、マネージャ-が笑顔で誘ってきました。
「Come on in!じゃないだろうに!」と思いながらも怒りを抑え、作り笑顔で『うるさくて眠れない』と告げました。それでやっと静かになり眠ることが出来ました。
27.April.2016 Wednesday
6:00am ジェシリ先生のお迎えをホテルロビー待っていると、マネージャーはじめ従業員たちが口々に昨夜のお詫びに来られました。私は「Never mind.」(気にしないでください)と伝えました。
出発前、知人から「スリランカ人は強く言うと素直に従うよ」と教えてもらいましたが全くその通りでした。
(後日談ですが知人は、スリランカで痴漢にあったら「止めなさい!」と強く言ったら素直に従うというネット情報を私に伝えたとのこと。今回は痴漢ではありませんでしたが、笑!)
話を戻して、本日も40℃の中を3回稽古ですが、その合間にジェシリ先生の会社を訪問し、夜はジェシリ先生宅でご家族とカル先生と撮影担当の方との食事会です。
ジェシリ先生の会社は、ホテルから1時間30分くらいの果物加工機械の製造販売と、燃料の木材チップの製造販売をする従業員30名の大きな会社でした。
午後と夕方の稽古では、型と投げ技の稽古も行いました。ここでも反復稽古の大切さ、そのためにはケガをしない、させないよう配慮する心を忘れないで下さいとお伝えしました。
言葉が足りなくても(通訳がいなくても)熱意があれば気持ちで伝わるものだなと改めて思いました。
夜はジェシリ先生のご自宅で伝統料理『スリランカカリー』です。日本人の私に気を使って辛さ控えめにして下さっているようで、とても美味しく頂きました。当然、私もみなさんと同じく右手がスプーンです。
壮年部との合宿稽古
帰国前日の28日、早朝6:00出発で、カル先生とジェシリ先生はじめ壮年部道場生を中心に観光がてら合宿稽古でキャンディーへと向かいました。
最初に、お釈迦様の犬歯が収められているというダラダーマーリガーワー寺院を訪ねました。多くの日本人も観光で来ています。このあと3時間程セイロンティーの山道を車で走り、Gregory Lake(グレゴリーレイク)で合宿稽古。ここは日中20℃以下と涼しい所で、夜は上衣が必要なくらいです。
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この過ごしやすい湖畔で組手の稽古を行いました。高見空手で試合はメインではありませんが、必要性があり大会も行っております。その為ルールを伝えることを主とした組手稽古を行い、あわせて日頃の稽古方法も教えました。
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29.April.2016 Friday
早朝6:00から稽古開始、昨日に続き組手です。みなさん、組手ルールもそうですが、高見空手が重んずる「惻隠の情」「信義恩義」など道場訓にある高見空手の精神を理解し賛同してくれたようです。大変有難いことです。
帰国前の最終ディスカッション
グレゴリーレイク(湖の畔)での合宿稽古終了後、帰国の準備のため再びクルネーガラのカル道場へと向かいます。その途中、ジェシリ先生が総師へのお土産にとTシャツ等買って下さり、またカル先生の自宅にもお伺いして奥様から手作りのクッキーを頂きました。ありがとうございました、押忍!
また道中、スリランカで有名な三輪タクシー「スリーディールタクスィー」に高見空手のステッカーを貼った車を見つけて皆で感動、盛り上がりました。多分、道場生のタクシーなのでしょう。
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そして帰国前の最後の大切なディスカッション、今後の高見空手とカル道場の提携に関わる大切な会議です。ところがいくら待っても、約束していた通訳の日本語学校の先生もアノシカさんも来ません。ジェシリ先生が何度も電話しますが繋がりません。
私のフライト時間も迫り、もう限界だからとコロンボ国際空港に車で向かったところ、やっと日本語学校の先生につながり、温厚なジェシリ先生が凄い剣幕でシンハラ語を話しだしました。言葉は分かりませんが多分「約束を破って来なかった事」「いいかげんなアノシカさんの事」へのクレームのようです。
スリランカ滞在中、何度も二人の口から「TAKAMI KARATE…、continue…」という2つの単語が出ていたので、カル道場で高見空手を続けたい、日本の高見空手と繋がりたい、と、本当に切に願っていたようです。ところが、そのための最後の肝心なカル道場の将来を左右する交渉に通訳が来ない…。
通訳に約束を破られて怒るジェシリ先生、重要な話し合いが出来ず、不安と心配からか後部座席で小さくなるカル先生。帰国直前の最悪の雰囲気に「こんな終わり方はいけない!」と私から口を開き、
『既にお互い理解し合って意思疎通はできている。ディスカッションの重要ポイントは事前に英文を用意している』と伝え、私のメモノートを見せて指差しながらコミュニケーション、最後のディスカッションを行いました。
そして最後に私は、
『帰国したら提携道場として「高見空手カル道場」承認の最終決済を総師にお伺いします。』と伝えました。
これでジェシリ先生とカル先生は、かなり安心されたようで笑顔も戻りました。
そして空港の近くに来たところで最後の昼食です。立ち寄ったのは、スリランカ初日にセイロンティーを飲んだ同じお店です。この場所から約1週間、スリランカ滞在が始まりました。そして今度は、セイロンティーを飲んで帰ります。
エピローグ
一週間前、私は、
『高見空手は、このスリランカで何が出来るのか?』と漠然と考えましたが、答えが見つかりました。
それは
『日本空手道を教授する』というシンプルで当たり前のこと。高見空手の出来るスリランカへの貢献はこれしかなく同時にこれしか出来ません。
親日国スリランカでは、空手が大変なブームです。そしてスリランカ人は日本人を尊敬し、日本の空手道に羨望と憧れを持っています。これに対して高見空手は、自分たちが修めてきた日本空手道をスリランカの人たちに伝授すべく真摯に努めることが国際貢献・国際交流と考えました。
また、通訳できない通訳アノシカさんのお蔭で(嫌味でなく)、結果的にカル道場メンバーと素晴らしい心の交流、コミュニケーションが出来ました。
カル道場との英文メールのやり取りでお世話になった先生より
『英語は、上手く話すよりも何を話すのか中身が重要。流暢な英語を話しても中身がなければ相手にされない。発音より中身。ロジックと心の交流。それに国や地域によって英語も違うから。』
と、ご指摘されました。
そう言えば空手留学したアラバマ英語の映画がニューヨークで字幕付きで上映されていたことを思い出しました。米国内でもこれですから、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語はかなり違います。当然、スリランカなど南アジアの英語は大きく違います。私はスリランカ到着当初、英語とシンハラ語のどちらで会話しているのか区別が出来なかった程です。
だから高見空手の道場生、特に子供たちは、文武両道で英語の勉強も頑張って頂き、学校英語/受検英語だから、日本英語で発音がヘンだからなどと決して臆することなく、どんどん外国人に話しかけて国際交流してください。
また私たちには「押忍!」という究極のコミュニケーション語があります。私は「Osu!」だけで英語の話せないカル道場メンバーと十二分に心の交流ができました、Osu!
最後に、スリランカ渡航にご尽力して頂きました方々に御礼申し上げるとともに、今後、ますますグローバル化していく社会の中で、高見空手の子供たちが成長して世界に羽ばたき活躍することを期待し祈りつつ、スリランカ訪問記を終わりたいと思います。
ありがとうございました、押忍!
高見 彰 九拝
PS.
カル先生は英語が苦手でしたが、通訳アノシカさんより日本語ができました。
- 2016-05-14 Sat | URL | 正拳コラム | Edit | ▲PAGE TOP
スリランカ訪問記vol.2/渡航編
スリランカは、「インド洋の真珠」と呼ばれる北海道を一回り小さくした島国で、人々は温厚で治安もよく、7割が仏教徒で親日の開発途上国です。この国の空手団体「カル道場」から突然メールが届き、2ヶ月ものやり取りの結果、私(高見彰)は、単身、現地に直接指導に行くことになりました。
24.April,2016
前日から東京入りしていた私は早めの朝食をすませ、成田国際空港へと向かいました。空港に着くなりスーツケースのタイヤが外れるアクシデントが発生!幸いにも空港内に修理場があり事なきを得ましたが、何やら今回の旅を暗示している気がしてなりません。
『いや、何とかなる。大丈夫!』と、心新たにスリランカ航空のラインに並びました。これから約9時間のフライトです。
いざ、スリランカへ!
17:10(時差マイナス3時間30分)、コロンボ国際空港に到着。
ゲートではカル先生、ジェシリ先生、ジェシリ先生のご子息(小学5・6年生)と数人の道場生が『HANSHI AKIRA』のプラカードを持って出迎えてくださいました。
『アユボワーン マゲナマ アキラタカミ ハンシキヤラカタカランナー』
(はじめまして、高見彰です。範士とよんでください)
本部、北条、市坪道場の子供たちと稽古の合間に覚えたシンハラ語です。驚いたジェシリ先生の「Do you spesk shinhara?」の問いに「Just that.」と答えました。参考にスリランカの母国語はシンハラ語とタミル語ですが、第二母国語としてほとんどの方が英語も話せます。
話を戻しまして、無事ピックアップされた私は、コロンボの夕暮れを満喫する暇もなく、ワゴン車でカル道場のあるクルネーガラへと向かいました。ちなみにスリランカには三大都市があり、最大都市は国際空港のあるコロンボ、次が仏陀の歯が安置されているダラダーマーリガーワ寺院のあるキャンディ(観光地)、そして活動拠点となるクルネーガラです。
道中、車道は舗装されていますが、それ以外は赤土の地面。道沿いに繁るタンブラー(ココナッツの木)の合間の所々に家があり、その後ろはジャングルです。
夕闇せまるクルネーガラまでの1時間半、
『高見空手は、このスリランカで何が出来るのか?』
漠然と自問自答し続けました。
19:30 お世話になるカムラルホテルに到着。
皆さんと食事をしながら片言の英語で打ち合わせをしました。帰り際にカル先生、ジェシリ先生に改めて確認で
『I’m sorry my English is poor. Therefore Please arrange an interpreter Tomorrow.』
(私は英語が苦手です。明日は通訳者をお願いします。)と伝えると
『Don’t worry about it.』(心配いりませんよ。)と笑顔で答えてくれました。
通訳が来ればひと安心です!!
高見空手@カル道場
25.April,2016 Monday 8:00am、ジェシリ先生とホテルロビーで待ち合わせしてカル道場へ車で向かいました。すでに気温は30℃を超え、車を降りる頃には35℃です。また湿度も高く、車から降りた途端、メガネが曇って前が見えなくなる程です。
8:30am、カル道場に到着。小学生から一般/壮年部まで約40名程の道衣を着た道場生のお出迎えをうけました。そして車から降りると通訳のアノシカさん(20~23歳くらいの男性)が
『アノシカ ト モウシマス。ヨロシクオネガイシマス。』と、片言の日本語で声を掛けてきました。
私は、
『高見です。助かりました。通訳を宜しくお願いします。』とご挨拶しました。
ところが返ってきた言葉は、
『アナタノ ニホンゴ ワカラナイ!』
『エェーッ!?』
一瞬、成田でスーツケースのタイヤが壊れたアクシデントが脳裏を過りました。
「これからのコミュニケーション…、大丈夫なのか?」
不安に駆られた私を次に待っていたのは、何と「パレード」?!
近隣住民に伝統衣装に身を包んだ踊り手に楽隊と、街はお祭り騒ぎです。予期せぬパレードに、ただただ恥ずかしくて頭の中は真っ白、スリランカの皆さんへの笑顔が引きつります…。
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何とかパレードが終わり、道場入口に着くと「WELCOME Akira Takami」と書いた私の等身大写真の看板が置いてありました。感謝&恥ずかしさと同時に、彼らの期待がひしひしと伝わってきます。
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いよいよ稽古開始!
サウナのような更衣室で着替えて心機一転、気合いを入れ『押忍!』と大きな声で一礼し道場に入りました。道場生たちも「Osu!」と応え、カル先生に号令を掛ける所に誘導されます。正面の壁は、向かって右側に大山倍達総裁の写真と日本の国旗、左側に高見成昭総師とスリランカの国旗が掲げられていました。
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そして稽古前、カル先生とジェシリ先生が高見空手のことを説明されます。
スピーチから聞き取れた英単語からの推測で、
『日本国の空手、大山総裁の直系、大山茂総主・大山泰彦最高師範の直系、日本人の指導者、それが高見空手だ!』
という内容だったようです。
異国で耳にする師の名前に偉大さを感じ胸が熱くなります!
次に等身大ランプ台に私、責任者、高弟の順で火を灯します。どうもこれは、スリランカの大切な儀式のようでした。
そして、いよいよ稽古スタートです。カル先生より
『はじめに我々(カル道場)の稽古方法を見て確認して下さい』と申し出があり、先ずは見せて頂きました。カル先生のデモンストレーションに始まり、通常トレーニングに入って行きます。
午前中は、これで終了。一旦ホテルに戻って昼食をとりならが指導方法を検討し、3:00pm いよいよ高見空手の稽古の開始です。
通訳アノシカさん登場!
気温は40℃! 通訳のアノシカさんに横に居てもらい、私の説明をアノシカさんが通訳、道場生に伝える段取りでした。
私の号令で『正座!Please sit down.On the knees.』(ここからは英語を割愛させて頂きます)『黙想!』『黙想やめ!これから稽古を始めます!押忍!』
道場生が立ち上がった所で、少年部と特訓したシンハラ語で挨拶をし、整備運動からスタートです。号令は日本語ですが、開脚の際、日本語でイチ、ニ、サン…と言った後、2回目のカウントを『エカ、デカ、ツナ、ハタラ、パハ、ハヤ、ハタ、アタ、ナワヤ、ダハヤ』と言いました。すると道場生より『オォー!』と言う歓声があがりました。シンハラ語の号令、みなさんに喜んでもらえたようです/
そして、いよいよ通訳アノシカさんの出番です!
私が日本語で説明したあとアノシカさんに『今のを言っていください。』と伝えると、なぜか小声でカル先生に「ごにょごにょごにょ…」。
『皆さんに聞こえる様に言ってください!』と言うと、今度は目の前の一人に小声で
「ごにょごにょごにょ…」
何度もこれを繰り返し、思わず、
『Speak more louder!!!』と、大声を出しました。
結局、アノシカさんは通訳できず、私のPoorな英語とボディーランゲージだけで稽古しましたが、何とかコミュニケーションできました、押忍!
こうして初めてのスリランカ稽古は無事?に終わり、通訳できない通訳のアノシカさんから『自分の通う日本語学校に来てほしい。』と、日本語でなく英語で申し出がありました。
時間があったので日本語学校を訪ねると日本語が堪能な女性先生がいらっしゃり、彼女から請われて急きょ「スペシャル講師」となって、恥ずかしながら教壇に立って子供たちに日本語を教えました。
貴重な国際交流の体験でした、押忍!
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また講師のお礼にと、先生が最終日のカル道場メンバーとの大切なディスカッションに同席して通訳してくださること。本当に助かります。
そして翌日早々、通訳できない通訳のアノシカさんから電話がありました。
『友達の結婚式があり、携帯を買い替えるのと、腹がちょっと痛いから。』
彼は、矢継ぎ早にへんてこりんな日本語を言い残し、しばらく来なくなってしまいました。
こうして通訳できない通訳アノシカさんのお蔭で、スリランカ滞在中のコミュニケーションは、最後の最後までエキサイティングになりました。貴重な体験でした、押忍!
Just Sweat!
渡航前、限られた滞在時間でカル道場にどれだけ高見空手を伝えられるのか、大きな懸案でした。そこで私は、スケジュール案を作られたジャシリ先生に、
『観光や接待に時間を掛けず、稽古時間が多くなるようプランして欲しい』とメールを送りました。きっとカル道場側は、わざわざ日本から来る空手の先生にスリランカを満喫して楽しんでもらうよう様々な接待を考えていると思ったからです。また私自身、カル道場の接待に甘えて観光気分で物見遊山などしては、稽古を休みにして私を送り出してくださる道場生たちに申し訳が立ちません。
こうしで出来上がったプランですが、道場は夜9時までなのに何故か夕方5時にはホテルになっていました。私は、平日の日中では道場生が学校や仕事で道場に来れないのではと思い、一人でも多くの道場生が高見空手の稽古を体験できるよう『夜も指導します』とプラン変更を伝えました。
その結果、私は1日3〜4回稽古するとこになったのですが、いざ稽古してみると、これが大変な修行、難行苦行。気温は朝早くから30度超え。美味しいハズのパイナップルジュースが数分でホットコーヒー並みに熱くなります。稽古早々、道衣は汗で濡れ、蚊による伝染病対策の虫避けスプレーも汗で取れてしまいます。
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アラバマ修行時代、大山泰彦最高師範に
『Just Sweat!』と、率先して稽古で汗を流すことを徹底指導して頂きましたが、スリランカでの汗は半端な量でありません。灼熱の中、2時間の稽古を1日3〜4回行うことにより、僅か2日間で私の体重は5キロ以上減ってしまいました。もう究極の空手ダイエットです/
当初、下痢を警戒し、またホテル以外のトイレに行きたくなかったので(理由は割愛します、押忍!)飲食を控え目にしていましたが、とても体が持たないと方針転換。食べ物は、何でも目いっぱい食べてエネルギーにして、正露丸とともに生水もガンガン飲みました。
途中、国際電話で渡航にご尽力していただいた先輩に報告したところ、
『正露丸で下痢は防げても、A型肝炎は防げないぞ!』とご指導され、生もの&生水だけは避けるよう改めました。
こうしてスリランカの気候にめげることなく、気合いで率先して汗を流して稽古しました。そしてカル道場のみなさんに高見空手の稽古を喜んでいただきました。
また彼らは、日本の先生に教わるのは千載一遇のチャンスとばかりに、型や護身術の演武など様々お願いしてきます。
組手もお願いされました。「先生の実力を試そう」ではなく「先生に相応しい実力者でないと失礼になる!」という無邪気な心遣いから、私は体格とパワーを兼ね備えた道場生と組手をすることになりました。
そして指名された道場生が、若さとパワーに任せて勢いよく向かってきましたが、何とか攻撃を捌いて足を引っ掛けて倒しました。また、床がコンクリートのため頭をケガしないように倒れた際に道場生の頭部に手を添えカバーしました。これを見ていた道場生たちは「お-っ!おーっ」と大歓声!日本の先生の面目躍如。彼らの期待を裏切らずにホッとしました、押忍!
>>スリランカ訪問記vol.3/エピローグ編 へつづく!
- 2016-05-09 Mon | URL | 正拳コラム | Edit | ▲PAGE TOP
スリランカ訪問記vol.1/プロローグ編
今回の正拳コラムは予定変更で、特別編「スリランカ訪問記」です。
この度、私(高見彰)はスリランカからの要請を受けて4月24日から一週間、空手の指導に行ってまいりました。その経緯を訪問記にしてご報告させて頂きます。
また、本部道場と北条道場の皆さまには、渡航期間のお休みにご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました、押忍!
プロローグ
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今年の1月下旬、私は、海外からメールを受け取りました。差出人はスリランカのカル道場(他流派に属さない独立系フルコンタクト団体)で、
「大山倍達総裁の系譜を継ぐ日本の高見空手の傘下に入って指導を受けたい。スリランカに来てほしい。」という内容でした。
高見空手は、極真会館から独立して2年余り。現状、愛媛県内で手いっぱいで海外はおろか他県への指導も難しく、過去、ロシアからの同じような要請もお断りしていました。
また私は「質」を落としてまでムリして国内外に道場を増やして勢力拡大したいとは思いません。それよりも既存道場への質の高い指導を重要視し、より深く空手道/武道を探求したいと考えているからです。
このためスリランカには、丁寧なお断りメールを送信しました。しかし先方は諦めず、幾度となく空手道に対する真摯な想いや日本の空手道への憧れ、高見空手への熱い想いがメールで届きます。
そこでカル道場には、来日した折には友好団体メンバーとして喜んで指導しますとお伝えました。先方は大喜びで、早速、日本に行くと連絡があったのですが、ここで問題が発生します。物価が10倍近く違う日本に不法滞在して働こうとするスリランカ人が後を絶たず、簡単にビザが発行されないのです。
どうしたものか悩んだ末、私は、お世話になっている先生方に相談し、愛媛県がスリランカの農業と漁業を支援していることを教えて頂きました。
▼ 愛媛県国際交流協会
http://goo.gl/KOqXHk
農業支援は、JA全農えひめ本部長であった故・友近師範代も関わっていただろうし、スリランカ支援が愛媛県の施策である以上、高見空手も郷土の方針に沿って空手道指導による文化交流/国際支援をしない訳にはいきません。
さらにお世話になっている先輩たちからも背中を押されました。
「無常迅速、及ばざるは過ぎたるよりまされり。スリランカに乗り込め!」
また知人より、日本はスリランカに大きな恩があることも教えてもらいました。それは終戦時、連合国の日本分割統治の計画をスリランカが阻止したことです。
「北海道」「東北」はソ連、
「関東」「中部」は米国、
「近畿」は米国と中国
「中国」「九州」は英国
そして私たちのいる「四国」は中国が統治…。
この日本の分割統治計画に頑なに反対して中止となる端緒を開いてくださったのがスリランカ(当時、セイロン)で、サンフランシスコ講和条約で最初に戦後賠償を放棄して下さった仏教国で親日国でもあります。
これを知った私は、微力ながら高見空手もスリランカに恩返ししなければいけないと思いました。こうして私は、愛媛県の施策に沿って国際交流/国際貢献(公益活動)のためにスリランカのカル道場(Karu Dojo & Fitness Center)へと旅立つことになります。
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>>スリランカ訪問記vol.2/渡航編 へつづく!
追記:「空手道」から「日本空手道」へ
少し話は変わりますが、皆さまお気づきの通りホームページの高見空手の`枕詞'を「空手道」から「日本空手道」に変更しました。キッカケは、カル道場が「大山倍達総裁の系譜を継ぐ日本の高見空手の傘下となって指導を仰ぎたい、日本の空手道を学びたい」と、あくまで「日本国」に拘っていたことです。
これをお世話になってる方にお話したところ
『世界がグローバル化する程、大切になるのがローカライゼーション。国や地域の個性や特性の打ち出しが重要。空手もオリンピック競技に採用されるなど世界のカラテになった今、逆に日本の空手を、Japan karate-doを前面に出すのもいいかもね。』と、アドバイスいただきました。
偶然ですがタイミングよくドメインKARATE-DO.JPを取得したので、これを機に高見空手は海外に向けて「Japan karate-do / KARATE-DO.JP」を打ち出すことを考えました。そこでホームページの表記を「日本空手道」に変更した次第です。
- 2016-05-04 Wed | URL | 正拳コラム | Edit | ▲PAGE TOP
道場訓の英語版を子供たちと暗唱しています!
お陰様で前回の武道教育コラムは、大変多くの皆さまにお読み頂き、誠にありがとうございます。正拳コラムの文書校正にご尽力して頂いている先輩からも、
『高見空手の武道教育三本柱は、恥の文化、惻隠の情、文武両道なんだな!』と、ご指摘を受けました。今まで特に意識しませんでしたが、コラム執筆により自然と体系化したのかなと思います。
高見空手の武道教育は、昭和54年の極真会館 愛媛県南豫支部の設立時より、高見成昭総師が掲げた「礼節」「孝行」「惻隠の情」という武道精神を、総師と清水最高顧問を始め古参の方々より代々培ってきた伝統でございます。
少し話は変わりますが、同じく古参で先般お亡くなりになられた森松道場の師範代だった友近勝之氏(元・JA全農愛媛県 本部長、芸能人の友近さんの御父上)も古風で厳格な武道家然としたお方で、武道教育に熱心でいらっしゃいました。謹んで故人のご冥福をお祈り申し上げます、押忍。
そして私自身、昭和60年に極真会館 城東支部の郷田最高顧問(当時、師範)の内弟子になる時、
『これからの時代、空手だけでなくサラリーマン修行もしないと立派な空手の先生になれない。』という総師の教育方針により、昼はサラリーマンで夜が内弟子の二足草鞋となりました。
総師の教育方針を快く受け入れてくださった郷田最高顧問には、ただただ感謝です。押忍!
また仕事に関して、大山倍達総裁は講話で
『空手をやるなら、仕事も人の3倍しないといけないよ!』と、仰られていました。子供たちの文武両道に負けないよう、一般部も仕事に励まないといけません。
道場訓の「直訳」と「意訳」
ところで今、私は子供たちと一緒に楽しく道場訓の英語版の暗唱にチャレンジしています。漢文の書き下し文に続き、こんどは英文を暗唱していく子供たちに驚くばかりです。
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英語版は、道場訓の作成でお世話になった古典の先生のお知り合いの英語のT先生に英訳して頂きました。また英訳にあたり、海外Wikipediaで見つけた孟子の四端説の英文をT先生にお伝えしたところ、ニュアンス的に好ましくない単語が使われているとのことでした。本部道場で稽古していたアメリカ人のJohn さんも同じ指摘をされました。
海外Wikiは中国語を英語に「直訳」したもので、同じ意味の単語でも微妙なニュアンスの違いがあり、そのまま直訳すると意味がズレてくるのだそうです。
そこで道場訓の英語版は、昔の武士の解釈に沿った四端説のニュアンスとなるよう、T先生に「意訳」でお願いしました。
またT先生のご提案により、箇条書きスタイルは「モーゼの十戒」に倣って、
I (ファースト)、
II (セカンド)、
III (サード)、
…
にしました。
道場訓の箇条書きスタイルは、日本語版が「聖徳太子の十七条憲法」で英語版が「モーゼの十戒」、畏れ多くて凄すぎです。
T先生、ありがとうございました、押忍!
発音方法の紙の配布ご案内
ところで英語版道場訓の暗唱のため、子供たち用に「カタカナよみ」が書いてある紙を用意しています。ただ、日本語と英語では母音・子音が違うため「カタカナよみ」では正確な発音が出来ません。
あくまで「カタカナよみ」は発音の目安として、それでも宜しければ「暗唱用の紙」をお渡ししますので、ご希望の方はご連絡ください。
それと高校生と大学生の道場生は、ネィティブの正しい発音を目指しましょう!
Let's practice TAKAMI-KARATE Dojo Oath.
Akira Takami, Osu!
TAKAMI KARTE Dojo Kun (Dojo Oath)
一に曰く、惻隠の心は仁の端なり 拳魂歌心を宗とせよ
I. The feeling of commiseration is the beginning of benevolence. Bear it in mind to have KENKON KASHIN.
二に曰く、廉恥の心は義の端なり 信義誠実を宗とせよ
II. The feeling of honor is the beginning of righteousness. Bear it in mind to be faithful and sincere.
三に曰く、辞譲の心は禮の端なり 礼譲親和を宗とせよ
III. The feeling of humility is the beginning of respect. Bear it in mind to be courteous and in harmony.
四に曰く、是非の心は智の端なり 勉励修養を宗とせよ
IV. The sense of right and wrong is the beginning of wisdom. Bear it in mind to be diligent and disciplined.
五に曰く、武道の心は徳の端なり 日々鍛練を宗とせよ
V. The spirit of Budo is the beginning of virtue. Bear it in mind to train yourself daily.
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※宜しかったら以下のコラムもお読みください。
・文武両道vol.1
・文武両道vol.2
・武道教育のあり方
- 2016-03-12 Sat | URL | 正拳コラム | Edit | ▲PAGE TOP