南予は雪の予報が出されていた。案の定、長いトンネルを抜けると、あっという間に銀世界に覆われる。平松師範に同乗させていたが車は走行不能になり、審査会場の宇和島本部道場に行くのを遮られました。幸い、平松師範が機転を利かし、通りかかった見知らぬ方に、私たちが昇段審査に間に合うようにと頼み込まれました。
何とか間に合い、審査が始ました。基本、移動、組手と進んだところ、先輩の廻蹴りが顔面をかすり冷や汗が、どっと噴出しました。拭うと、出血しているではないか。「ああ、これで止めよう」と情けなく思った瞬間でした。
間をおかず、先輩が私を連れ出し組手を再開しました。「私を止めさせない」と思って続行したのでしょう。それからの先は、何をしたのか記憶にありません。ただ、「早く病院行かねば、日曜日だが開いているだろうか」と焦るばかりでした………… 只々、長い一日でありました。
四半世紀前の初段の審査を受けた出来事です。
この度は、平松師範夫婦の推挙により、総師、最高範士をはじめ岡鼻、金澤師範のご高配を頂き参段の段位を頂きました。感謝申し上げます。
精神的にも、肉体的にも強くなりたいと思い、白い道着姿に憧れていました。そして、念願の道着を身に着けてから55年の歳月が経ちました。その間、中断しながらも空手を愛好してきました。
さしたる体力、技術があるわけでもないのに何故続いたのだろうか? それは、空手が好きだからに尽きます。しかし、一人で続けることは不可能です。それが出来たのは各道場の先輩や同胞の励ましが支えとなったからでしょう。いわば、アットホームな集団だからと思います。そのことは、仕事の関係で各地の道場を経験するなかで感じました。
今後は、もう一度、基本に戻り精進したいと思っています。「応用編」までに到達することは出来ません。ただ、「何か」が学べば満足です。
終わりに、いつもユーモラスでアットな平松夫婦師範の指導の下、共に汗を流してくれた村瀬、大内、久枝及び石田壮年部の各氏にお礼申し上げます。そして今後も宜しくお願い致します。