空手道 高見空手 川之江道場
井手 葵 初段
この度は、昇段をお許しいただき有難うございます。心よりお礼申し上げます。
以前、試合に負けて落ち込む私に『戦う以上勝ち負けも大事、でも本当に大事なのは、この経験から得たものを自分の生き方に生かすこと!』と篠原慎吾師範が声を掛けて下さいました。
勝てば調子に乗り軽く見て、負ければこの世の終わりのように暗くなると言う様に、『感情の制御』が苦手な私を篠原師範はいつも丁寧にご指導くださいました。
連続組手の審査でも苦しくなると、歪んだ顔、ムキになった顔がすぐに出てしまい感情の制御の出来ない私に『顔に出すな!』と、これも少年部の頃から言われてきたご指導でした。
今回、昇段審査を受けさせて頂くにあたって、この10年間で培ってきた成果を試してみたいと思う反面、このような自分にはまだ『黒帯』のレベル、『心技体』は備わってないのではと云う自信の無さや迷いもありました。
この様な私を見て『自分の意識を高い所に置いてこそ鍛錬の意味がある』と篠原師範に背中を押していただき受審を決意しました。
審査当日は厳粛さと緊張の中、持てる力を出し切った数時間でしたが、やはり自分の未熟さを痛感せずにはいられない厳しいものでした。
これまでの成果を試すと言うより、自分の課題を一つ一つ確認するような場になりました。
すべての審査項目が終わり、最後に高見最高範士に握手をして頂いた時は、『何とかやり遂げた』という安堵感と多くの『課題』が浮き彫りになったという反省の入り混じった気持ちでした。
強くなりたいからと言う動機で、6歳の時に篠原師範の道場へ入門して以来10年になります。
入門後、師範の厳しくも優しいご指導の下で、空手に取り組むことに『楽しさ』を感じ空手に夢中になっていきました。
篠原師範の強烈な正拳もさることながら、ひときわ華麗な足技に憧れ、いつか自分もあんな蹴りをと思い、合同稽古後も残って遅くまで足技を稽古する日々でした。
組手でも足技を出していくのが私のスタイルとなり、ともすると正拳よりも足技による大技ばかりに気持ちが向いていました。
今回あらためて高見最高範士より正拳の使い方、なぜ大山倍達総裁が『空手の神髄は正拳にあり』と言われておられたかなどご指導いただきました。
ご指導いただいた事はしっかり心に刻み精進していきたいと思います。
この度の昇段審査は、私の人生において本当に貴重な経験となりました。
『心技体』の全てに未熟で課題の多い私ですが、黒帯をいただいたこの時を境に、本当の第一歩が始まるのだと言う事を忘れず、自分の体験をいかに伝えていけるか、いかに社会の中で生かしていく事が出来るかを考え、空手の道に努めていきたいと思います。
高見空手の源流である大山倍達総裁、高見総師、高見最高範士、篠原師範、道場の皆さん、有難うございました。
家族のみんな、ありがとうございました。