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スリランカ訪問記vol.3/エピローグ編

26.April.2016 Tuesday スリランカ3日目。今日は早朝6:00amにジェシリ先生がピックアップに来られました。

 クルネーガラに「アト ガラ」と言う場所があり、そこには大きな白い仏陀像があります。アトはスリランカの言葉で象と言います、ガラは山です。象の山。象がいるわけではありませんが、象は仏様の使いだそうです。本日の稽古は、ここ「アトガラ」に道場生と登って約40分くらい歩き、仏陀像にお参りしてからのスタートです。

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 本日も40℃の中、10:00~12:00、3:00pm~5:00pm 5:30pm~7:30pmと3クラスの稽古の予定。日中40℃前後でメガネも曇る多湿の中、山登りから始まった今日も、なかなかよい修行でした。
 また難行苦行の成果か、3日目からは皆さんと同じ右手をスプーンに食事し、ウォシュレット派の私も紙の無い×××なトイレに裸足でいけるようになりました、押忍!

 さて、本日の稽古は、私のデモンストレーション(演武)からです。ヌンチャク「雷神」、トンファー「泰山」そして「スーパーリンペイ」をご披露し、基本と移動を中心に稽古しました。

 短い期間で高見空手の精神性もご理解頂くため、稽古中は
「高見空手は、相手を倒すためではなく、試合用でもなく、護身術のための空手です。」
「和合と修養が目的の空手です。」
「Most importand is Repeating and Continue.」
(繰り返す事、続ける事がもっとも大切です。)
「Repeating the basic.It's very important!」
(基本を繰り返す。これがとっても重要!)
と、何度もヘタな英語とジェスチャーで説明を繰り返しました。

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 12:00、ホテルで食事をし、3:00pm~5:00の稽古は道場近くの湖の回り約2kmをランニングして野外稽古。スリランカは天候が変わりやすく、いきなり雷とモンスーンの大粒の雨になりますが、この日も野外稽古の帰りに落雷&大雨になり、嵐と停電の中でのエキゾチックな稽古となりました。

 帰りの車中、ジェシリ先生から
『高見空手はとても楽しい。こんなにエンジョイできるとは思ってもいませんでした。』とコメントして頂き、私もホッとしました。

『Come on in!』って…

 そして今夜はホテルでひとり食事です。ホテルカムラルは、クルネーガラで一番新しい高級ホテルのようです。そのホテルで、ちょっとした事件が起きました。
 
 21:00頃、部屋に戻るとガラスが揺れるほど大きな音楽が響いています。シャワーを浴びて道衣を洗濯し(ランドリーがなく浴室のシャワーで手洗い)、明日の稽古に必要になりそうな英語とシンハラ語をノートに書いてベットに入りましたが、音楽がうるさ過ぎて眠れません。ただ体が疲れきっているため、起き上がろうとは思いません。

 しかし深夜0時、ついに我慢の限界。音楽を止めさせるために部屋を出ました。てっきり隣の客室からかと思ってドアに耳をあてましたが、別の所からです。うるさい音のする方に進んで行くと階段があり、そのまま上に上がると更に大きくなります。音楽は、最上階6Fの大きなホールからでした。

 ホールを覗き込むと、なんと…?! 日本では考えられないことですが、お客さんの睡眠を妨害していたのはホテルの従業員たちでした。彼らは私の顔を見るなり
『Come on in!』と、マネージャ-が笑顔で誘ってきました。

「Come on in!じゃないだろうに!」と思いながらも怒りを抑え、作り笑顔で『うるさくて眠れない』と告げました。それでやっと静かになり眠ることが出来ました。

27.April.2016 Wednesday

 6:00am ジェシリ先生のお迎えをホテルロビー待っていると、マネージャーはじめ従業員たちが口々に昨夜のお詫びに来られました。私は「Never mind.」(気にしないでください)と伝えました。
 出発前、知人から「スリランカ人は強く言うと素直に従うよ」と教えてもらいましたが全くその通りでした。

(後日談ですが知人は、スリランカで痴漢にあったら「止めなさい!」と強く言ったら素直に従うというネット情報を私に伝えたとのこと。今回は痴漢ではありませんでしたが、笑!)

 話を戻して、本日も40℃の中を3回稽古ですが、その合間にジェシリ先生の会社を訪問し、夜はジェシリ先生宅でご家族とカル先生と撮影担当の方との食事会です。
 ジェシリ先生の会社は、ホテルから1時間30分くらいの果物加工機械の製造販売と、燃料の木材チップの製造販売をする従業員30名の大きな会社でした。

 午後と夕方の稽古では、型と投げ技の稽古も行いました。ここでも反復稽古の大切さ、そのためにはケガをしない、させないよう配慮する心を忘れないで下さいとお伝えしました。

 言葉が足りなくても(通訳がいなくても)熱意があれば気持ちで伝わるものだなと改めて思いました。

 夜はジェシリ先生のご自宅で伝統料理『スリランカカリー』です。日本人の私に気を使って辛さ控えめにして下さっているようで、とても美味しく頂きました。当然、私もみなさんと同じく右手がスプーンです。

壮年部との合宿稽古

 帰国前日の28日、早朝6:00出発で、カル先生とジェシリ先生はじめ壮年部道場生を中心に観光がてら合宿稽古でキャンディーへと向かいました。

 最初に、お釈迦様の犬歯が収められているというダラダーマーリガーワー寺院を訪ねました。多くの日本人も観光で来ています。このあと3時間程セイロンティーの山道を車で走り、Gregory Lake(グレゴリーレイク)で合宿稽古。ここは日中20℃以下と涼しい所で、夜は上衣が必要なくらいです。

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 この過ごしやすい湖畔で組手の稽古を行いました。高見空手で試合はメインではありませんが、必要性があり大会も行っております。その為ルールを伝えることを主とした組手稽古を行い、あわせて日頃の稽古方法も教えました。

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29.April.2016 Friday

早朝6:00から稽古開始、昨日に続き組手です。みなさん、組手ルールもそうですが、高見空手が重んずる「惻隠の情」「信義恩義」など道場訓にある高見空手の精神を理解し賛同してくれたようです。大変有難いことです。

帰国前の最終ディスカッション

 グレゴリーレイク(湖の畔)での合宿稽古終了後、帰国の準備のため再びクルネーガラのカル道場へと向かいます。その途中、ジェシリ先生が総師へのお土産にとTシャツ等買って下さり、またカル先生の自宅にもお伺いして奥様から手作りのクッキーを頂きました。ありがとうございました、押忍!
 また道中、スリランカで有名な三輪タクシー「スリーディールタクスィー」に高見空手のステッカーを貼った車を見つけて皆で感動、盛り上がりました。多分、道場生のタクシーなのでしょう。

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 そして帰国前の最後の大切なディスカッション、今後の高見空手とカル道場の提携に関わる大切な会議です。ところがいくら待っても、約束していた通訳の日本語学校の先生もアノシカさんも来ません。ジェシリ先生が何度も電話しますが繋がりません。

 私のフライト時間も迫り、もう限界だからとコロンボ国際空港に車で向かったところ、やっと日本語学校の先生につながり、温厚なジェシリ先生が凄い剣幕でシンハラ語を話しだしました。言葉は分かりませんが多分「約束を破って来なかった事」「いいかげんなアノシカさんの事」へのクレームのようです。

 スリランカ滞在中、何度も二人の口から「TAKAMI KARATE…、continue…」という2つの単語が出ていたので、カル道場で高見空手を続けたい、日本の高見空手と繋がりたい、と、本当に切に願っていたようです。ところが、そのための最後の肝心なカル道場の将来を左右する交渉に通訳が来ない…。

 通訳に約束を破られて怒るジェシリ先生、重要な話し合いが出来ず、不安と心配からか後部座席で小さくなるカル先生。帰国直前の最悪の雰囲気に「こんな終わり方はいけない!」と私から口を開き、
『既にお互い理解し合って意思疎通はできている。ディスカッションの重要ポイントは事前に英文を用意している』と伝え、私のメモノートを見せて指差しながらコミュニケーション、最後のディスカッションを行いました。

 そして最後に私は、
『帰国したら提携道場として「高見空手カル道場」承認の最終決済を総師にお伺いします。』と伝えました。
これでジェシリ先生とカル先生は、かなり安心されたようで笑顔も戻りました。

 そして空港の近くに来たところで最後の昼食です。立ち寄ったのは、スリランカ初日にセイロンティーを飲んだ同じお店です。この場所から約1週間、スリランカ滞在が始まりました。そして今度は、セイロンティーを飲んで帰ります。

エピローグ

一週間前、私は、
『高見空手は、このスリランカで何が出来るのか?』と漠然と考えましたが、答えが見つかりました。
それは
『日本空手道を教授する』というシンプルで当たり前のこと。高見空手の出来るスリランカへの貢献はこれしかなく同時にこれしか出来ません。

 親日国スリランカでは、空手が大変なブームです。そしてスリランカ人は日本人を尊敬し、日本の空手道に羨望と憧れを持っています。これに対して高見空手は、自分たちが修めてきた日本空手道をスリランカの人たちに伝授すべく真摯に努めることが国際貢献・国際交流と考えました。

 また、通訳できない通訳アノシカさんのお蔭で(嫌味でなく)、結果的にカル道場メンバーと素晴らしい心の交流、コミュニケーションが出来ました。

カル道場との英文メールのやり取りでお世話になった先生より
『英語は、上手く話すよりも何を話すのか中身が重要。流暢な英語を話しても中身がなければ相手にされない。発音より中身。ロジックと心の交流。それに国や地域によって英語も違うから。』
と、ご指摘されました。

 そう言えば空手留学したアラバマ英語の映画がニューヨークで字幕付きで上映されていたことを思い出しました。米国内でもこれですから、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語はかなり違います。当然、スリランカなど南アジアの英語は大きく違います。私はスリランカ到着当初、英語とシンハラ語のどちらで会話しているのか区別が出来なかった程です。

 だから高見空手の道場生、特に子供たちは、文武両道で英語の勉強も頑張って頂き、学校英語/受検英語だから、日本英語で発音がヘンだからなどと決して臆することなく、どんどん外国人に話しかけて国際交流してください。
 また私たちには「押忍!」という究極のコミュニケーション語があります。私は「Osu!」だけで英語の話せないカル道場メンバーと十二分に心の交流ができました、Osu!

 最後に、スリランカ渡航にご尽力して頂きました方々に御礼申し上げるとともに、今後、ますますグローバル化していく社会の中で、高見空手の子供たちが成長して世界に羽ばたき活躍することを期待し祈りつつ、スリランカ訪問記を終わりたいと思います。

ありがとうございました、押忍!
高見 彰 九拝

PS.
カル先生は英語が苦手でしたが、通訳アノシカさんより日本語ができました。
 

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